2009/02/25

クラウドコンピューティング時代の規模の経済 ハード編

Cloud computing by Combined Media.
Cloud computing on Flickr - Photo Sharing!

昨日のクラウドの衝撃にも書かれていたことですが、クラウドコンピューティングがこのまま進んでいくとおそらくサービスを提供するクラウドベンダーの数も限られてくるのではないかと思われます。よく言われるGoogle、Amazon、セールスフォースなどクラウドネイティブな企業を中心とした「世界に5台のコンピュータがあればいい」というやつです。

意識しやすいサーバやマシンという形のクラウドコンピューティングサービスはHaaS(IaaS)と呼ばれていますが、これってほとんどAmazon EC2/S3のためにある言葉ですよね。ほかのプレイヤーが参入してこないのはまさに規模の経済が働いているのではないかと思います。

 

クラウドコンピューティングはよく発電所に例えられますが、表面的にはその考え方なのかもしれませんが裏側で動いているものは根本的に違うと感じています。原子力発電所などの施設は膨大なお金をかけて「そもそも壊れない(壊れたら困る)」という事を念頭に設計・作成されていますが、クラウドベンダーは安価なPCを組み立てそれらをソフトウェアで1つの巨大なマシンとしているのが一般的です。そういった形態でサービスを提供しているのはGoogleやAmazon、Microsoft。また、そういった形態のハードウェアを販売しているのはHP、SUN、DELLなど…

クラウドの向こう側にあるのが、アニメに出てくるようなすごい処理能力をもった1台のスーパーコンピュータならここまでバズワード化せずにわかりやすかったのじゃないでしょうか:p
あるいは先祖返りのようにメインフレームなど。

そして、何よりもマシンは壊れる。
Googleは1日に4桁単位のマシンが何らかの障害を迎えているそうです。想像できない規模としか言いようがないですがクラウドコンピューティングのベンダーになるというのはそういうことなのかなと思う反面もあります。現在Amazonがどれほどの規模のデータセンターを運用しているのかはわかりませんがすでに40万以上の利用者がいるAmazon EC2ですから、内需だけで100万台以上のマシンを運用しているGoogleの背中が見えてくるのもそう遠くないかもしれません。

クラウドコンピューティングを構成するマシンは「そもそも壊れる(1つ壊れても何とかなる)」という大前提のもとに作成されています。たとえばGoogleが独自に作り上げたGoogle File SystemやMapReduceなどはハードウェアの障害に対して非常に柔軟な対応をソフトウェアが自動的に行うようになっています。その血はHadoopも引き継いでいるそうです(要調査)

ですので連日連夜死んでいくハードウェアを逐次入れ替えたりメンテナンスをしてやるにも大規模な資金が必要となります。
そうなってくると信頼性の高いハードウェアを選ぶでしょうか?
日本製のマシンが何となく信頼性が高そうと言うのは…日本人だしね。でも、数千台規模の故障するのが当たり前のような場合に信頼性はどれほど重要でしょうか? さらに内部のチップを作っているのは販売しているハードウェアベンダーというわけではないですし、安定供給が目的の発電所との違いは作り出すだけでなく入力・処理しなければならない情報量は着実に増え、その処理能力をキャパシティが超えないように逐次追加してやる必要があります。

国内サーバ by you.
日経コンピュータ 2009年2月15日号 より

こうやってみると海外勢のシェア上位3社は国内企業よりも「規模の経済」のおかげで大幅に価格を下げるとが出来ています。要するに売れるから値下げできるというやつです。

Googleは自分たちでハードのパーツを購入してオリジナルのマシンを組み上げるというのは有名ですが、Microsoftなどのクラウドベンダーはサーバを何千機も納めたラックを積み上げるタイプを選択しています。
そう考えれば「世界の5台のコンピュータ」に対してマシンを出荷するハードウェアベンダーになれるかどうかが、新しいハードウェアベンダーのエンタープライズ競争なのではないかと感じます。そうなった時…日本勢はすでに結果は見えているかな。

また米国のIT企業がデータセンターを構築するときには,効率的な方法を使っていることを紹介。Microsoftがシカゴに構築したデータセンターでは,冷却装置を備えたコンテナ220台を,広大な駐車場のようなスペースに配置していると紹介した。収容できるサーバー台数は50万台ほどになるという。
[クラウド フォーラム]「“分散から集中へ”と“集中から分散へ”が同時進行」,日経コンピュータ記者が解説:ITpro

もちろんこの変革は今すぐ起きるわけではないですし、完全になくなることもないでしょう。今の時代だって発電所から電力の供給を受けていながらも、自家発電施設を構えている施設は少なくありません。

Amazon EC2がどういったマシンの上でどの様なソフトウェアを用いてあれだけの環境を提供されているのかは非常に興味がありますが、そういう物理的なことに注力していないでいいのがクラウドコンピューティングの利点ですよね:p

 

なんだかまとまっていないなぁ…
最初のAmazon EC2は一体何を言おうとしたのだろう?

一言で言うと海外のクラウドベンダースゲェ!!
日本のハードベンダーヤベェ…